猟人日記
りょうじんにっき

一冊のノートに秘められた、恐るべき人間の暗い絵図。江戸川乱歩賞を獲得した女流作家・戸川昌子原作の問題作!

生命保険会社勤務・尾花けい子の自殺記事が、新聞の片隅に小さく載った。警察に駆けつけた姉・尾花常子は、けい子が妊娠六ヶ月であったことを知らされた。泣き伏す常子の小鼻のホクロが、そのときの係官に妙に生々しい印象を与えた。妹の日記帳には「名も知らぬ男と新宿のバーで“流浪の民”を唄い、ホテルへ」と記されていた。新宿のバーにホクロの女が現れ、女と“流浪の民”を唄った男について尋ねた。尾花常子だ。彼女はそこで聞いた男の出身大学へ出向き、本田一郎という名前と、彼が珍しい血液型であることを聞き出した。本田一郎は関西物産会長・原の女婿で、優秀な電子計算機コンサルタントだった。定宿としていたホテルの他に、小さなアパートを持つ暮らしを楽しんでいる。アパートは彼の“猟人”としてアジトで、“猟人日記”と題したノートに彼の犠牲となった女たちの名前と、そのときの模様を詳細に書きとめていた。ある日、新聞を広げた本田の眼に「現金係絞殺、津田君子」の記事が飛び込んだ。かつての獲物の一人だが「俺には無関係だ」と呟やく本田の猟は、BGの房子、画学生の美津子…と続く。美津子の部屋からの帰途、再び房子を訪れた本田は、絞殺されている房子の死体を発見した。自分と関係した女が次々に殺されていくことに、本田もさすがにショックを受けた。「しかし俺にはアリバイがある」アリバイを証明してくれる美津子のアパートへ戻った本田は、全身凍りつくような恐怖に立ちすくんだ。自分のアパートにあるはずのネクタイで、美津子が絞殺されていたのだ。「誰かの罠だ!」やっとの思いで自分のアパートへ帰った本田だったが…。

日本
製作:日活 配給:日活
1964
1964/4/19
モノクロ/123分/シネマスコープ・サイズ/10巻/3364m
日活
【大阪府】豊中市(大阪国際空港)