無頼無法の徒 さぶ
ぶらいむほうのとさぶ

明治初期、十年来の固い友情で結ばれていた対照的な二人の経師職人が、ふとしたことから憎みあい、誤解がとけるまでに直面した数々の人間ドラマを恋と友情とアクションでみせる異色野心作。

明治はじめ、東京下町の経師屋「芳古堂」に正反対の性格を持ちながら、とても仲の良い若い住み込み職人がいた。敏捷で腕もたつ栄二に対し、さぶは鈍重でおぼえも悪く、親方や兄弟子に怒鳴られ通し。そのたびに栄二は慰め、励ました。さぶは「すみよし」の女中のぶにぞっこんだったが、栄二を通して贈りものをするのが精一杯だった。それとは知らないのぶは、栄二に心を寄せていた。ある日、得意先の呉服問屋「綿文」へ行った二人は、十年前に知り合ったすえに再会した。すえは、ここの女中だったのだ。彼女は再会の喜びとともに、栄二を好きになっていった。ここの一人娘そのも栄二を見染め、彼女の積極的な態度に、すえは嫉妬に燃えた。その頃「綿文」の家宝が無くなった。誰の企みか、栄二の道具姿から身におぼえのない古代箔白地金襴の切れが出てきた。「盗っ人!」との罵声を浴びた栄二は無実を叫んだが、無駄な努力だった。十年間可愛がってくれた「芳古堂」からも冷たく追い出されてしまった。その夜、したたか酔った栄二は「綿文」へ身の潔白を証明しに行ったが、逆に袋叩きにあい、留置所へ放り込まれてしまった。メシも喰わず、一睡もせず、誰にも逢わないという栄二に、思いつめたさぶは「真犯人だ」と名乗って面会した。てんで相手にしなかった栄二に、さぶは「自分を立派に見せるために、おらを利用していたんだ!おら、復讐してやったんだ!」と叫び…。

日本
製作:日活 配給:日活
1964
1964/3/25
モノクロ/102分/シネマスコープ・サイズ/9巻/2798m
日活
【千葉県】館山市(海上自衛隊館山航空基地、海岸)