二谷英明が非情な殺し屋に扮して暗躍する本格的ハードボイルド・アクション
密輸ルートをめぐって暗黒街に火花が散っている立川――その立川に、ある日神戸から一人の男がやって来た。檳五郎、それがその男の名前だ。神戸でやくざ一家七人を皆殺しにし、しかも完全なアリバイを擬装して当局の追及を逃れたという暗黒街にとどろく有名な殺し屋だった。檳を神戸から呼んだのは大関組だった。幡ヶ谷組が最近大関組の縄張りを荒らしているので、用心棒に呼んだのだ。「まかしとけ」大関から話を聞いた檳は不敵な顔でニヤリと笑った。「俺一人でかたづけてやる」。数日後、檳が予告した通り、幡ヶ谷組のボスと大幹部三人が自動車の中で焼死体となって発見された。大関は飛びあがらんばかりに喜び、檳の前にうず高く札束を積んだ。だが、大関が喜んだのも束の間、翌日、大関組は警察の手入れを受け、倉庫の密輸品はすっかり押収されてしまった。幹部の野呂が捕まり、ドロを吐いてしまったからだ。野呂を警察に密告したのは猿丸一家だと大関組の幹部たちは考えた。というのも、野呂が言い寄っていたマキは猿丸一家の幹部黒部の情婦だったからだ…。