黒い太陽
くろいたいよう

ジャズに熱狂する青年と黒人脱走兵の逃避行を描く。『狂熱の季節』の蔵原惟繕監督×川地民夫コンビが放つクールなビート・アクション。本作のために来日したマックス・ローチ・グループによる音楽も必聴モノ。

チンピラの明は黒人ジャズに憑かれている男。取り壊し寸前の崩れかかった廃墟に愛犬・モンクと住み、その日その日を無計画に過ごしていた。とにかくジャズを聴いているだけでゴキゲンなのだ。いつものようにふらりと街へ出た明は、レコードを買ってジャズを口ずさみ、車を盗んでポンコツ屋に売り飛ばした。街ではちょうど殺人事件が起こり、白人を射殺して逃走中の黒人兵ギルを追ってMPと警察が躍起になっていた。その夜、明は廃墟に帰って驚いた。殺人犯の黒人ギルが潜入し、機関銃を構えて明の前に立ちはだかったのだ。明は黒人に会った感激に震え、トランペットを差し出す。しかしギルはトランペットを叩き落とし、飛び掛かっていった愛犬モンクを殺してしまう。明が黒人に抱いていた強い憧れと期待は完全に裏切られ、逆に憎悪に変わっていった。翌日、むしゃくしゃした明はジャズ喫茶で古い顔なじみのユキを騙して抱き、狂った一夜を過ごした。海へ憧れて姿を消していたギルが戻ってきた。明に機関銃を突き付けるギル。二人の間に沈黙のにらみ合いが続いたが、明はギルの手から機関銃を奪い取り、形勢を逆転した。ギルはその日から明のロボットになった。明は白ペンキでギルの顔を塗りつぶし、自分も黒ペンキでおどけた変装をして、商店街やジャズ喫茶で得意顔だった。しばらくして明の住む廃墟のビルがブルドーザーで壊された。家財道具をポンコツ車に積み込んで、二人はあてもなく走り出す。

日活
1964
1964/4/24
モノクロ/95分/シネマスコープ・サイズ/8巻/2603m
日活
【東京都】中央区(晴海埠頭、木場、銀座)/渋谷区(渋谷駅近くの堀割りの道)