小林旭、宍戸錠の黄金コンビが意地と度胸の男の世界をスクリーンに叩きつけ、村田英雄、五月みどり、北島三郎、新川二郎の人気歌手も競演する豪華仁侠篇
昭和初期、ここ東京・深川は初春の風に流れる笛、太鼓の音に乗って獅子舞が躍り、羽根を追う嬌声が湧きかえっていた。こうした正月気分に酔う雑踏をかきわけるようにして黒羽組の代貸、利根銀次が歩いてくる。粋な着流し、細面の顔立ちだが、全身にみなぎる精悍なものは、彼に武道の心得があることを物語っている。彼は幼いとき両親を亡くし、孤児となって黒羽大五郎に拾われて育てられ、いまでは大五郎の片腕と言われる腕利きの代貸となっていた。大五郎の一人娘早苗は銀次にひそかな慕情を寄せていたが、この日も彼女は銀次にねだって羽子板の破れを繕ってもらっていた。突然、そこへ駈け込んで来たのは子分の一人、息せき切って黒羽組のシマが荒らされているという。しかもその連中は堅気の者だ。現場へ駆けつけた銀次は、そこで真面目に働こうとする人間の姿に胸をうたれた。それ以来、銀次は大五郎から堅気の連中を追い立てるように命令されても、今までのように素直には動けぬものを感じるようになった…。