成熟する季節
せいじゅくするきせつ

『非行少女』の浜田光夫、和泉雅子のコンビで、大人の偏見や無理解をものともせずに明るく生きる高校生の姿を、フレッシュなタッチで描く青春篇。

北高校の二年生・花木悠子は、要注意人物と目されていた。学校で起きる事件に、必ずといっていいくらい関係しているからだ。派手好きで反抗的で、何をしでかすかわからないと殆どの教師たちは思っていた。その心配が現実のものとなった。浪人中の峰行雄が、悠子に失恋して自殺したのだ。教授会に呼び出された悠子は、非難の眼差しにも少しも悪びれず、教師たちを驚かせた。失恋自殺の真相は峰の完全な片想いで、ふたりは喫茶店で一度会ったきり、それも同級生・柿田の顔を立て嫌々会ったのだから、悠子には全く迷惑な話だったに違いなかった。教師たちは悠子の処罰を強く主張したが、担任の英語教師・山中と国語の女教師・奈井は温かな目で見守ることを譲らず、山中先生が今後指導することで問題は片付いた。しかし学生たちの間では大きな話題となり、中傷や興味の視線が悠子に注がれた。親友だった里岡さちも、親から注意され離れていった。そんなことは気にせず、相変わらず明るく振舞っていた悠子だが、同級の番村麟太郎の「気にすんなよ」という言葉は嬉しかった。母一人子一人の貧乏暮らしをしている番村は、隣家から借りたバイクで女学生を送ったり、学生たちから昼飯の注文をとってコツコツためた足代を生活の足しにしているチャッカリ屋で、新聞部の部長をしていた。悠子の指導方法を考えた山中先生は、彼女と親しい番村に相談し、部活動をさせることにした。番村の勧誘を受けた悠子は、すぐにOKした。「私が新聞部に入るのは、番村君が好きになったからよ」という悠子の言葉を聞いて、番村は目を白黒させた。番村には恋する人がいる。もちろん片思いだが、それは奈井先生だった…。

日本
製作:日活 配給:日活
1963
1964/1/15
モノクロ/82分/シネマスコープ・サイズ/7巻/2227m
日活
【長野県】上田市/▲諏訪市(丸光百貨店)