霧に消えた人
きりにきえたひと
恩地文子の原作を浅丘ルリ子、二谷英明コンビで映画化した文芸ロマン。フィアンセとは別の男に惹かれていく女性の複雑な恋愛感情を描く。
故郷の一ノ関から上京して丸の内で働くOL・藤崎美沙は、縁談のために久しぶりに帰郷した。相手は美沙が東京で下宿時代に知り合った青年・山科槇夫である。桐生市の一流織物問屋の長男で、大学を卒業して親のあとを継いでから正式に結婚を申し込んできたのだった。美沙は嬉しいと思いながらも、格式に縛られた商家を切り回していくことに対する不安も感じるのだった。東京へ帰った美沙は親友・リバちゃんこと岸子の母親から訪問を受けた。岸子が家出したと言う。岸子に愛人がいるのを美沙は以前から知っていた。宇品という四十男で二人は密かに愛し合っていた。美沙が宇品の会社を訪ねて行くと、そこで朝吹岳志に出会った。彼は美沙が高校の頃近所に下宿していた大学生で、美沙の女子寮が火事になった時に火の手から救ってくれたのだった。岳志は美沙との再会を喜び、その後も時々、友人も誘ってデートを重ねた。美沙は岳志と話していると、槇夫と一緒の時には感じられない心のはずみと安らぎを覚えるのだった。槇夫は商用で何度か上京し、その都度電話をかけてきては美沙の気持ちが熟するのを待っていた。連休になり岳志、後輩の末常、美沙、友人の由利子は那須高原へハイキングに出かけた。都会を離れて山を歩く清々しさが美沙と岳志の親密さを一層深めていった。気が付けば濃い霧が一行の行く手を遮り、岳志はふと美沙がいなくなったことに気付く。
日本 製作:日活
日活
1963
1963/12/21
モノクロ/78分/シネマスコープ・サイズ/6巻/2129m
日活
【岩手県】一関市(市郊外)/平泉町(中尊寺)
【東京都】千代田区(丸ノ内)/中央区(銀座)/台東区(上野駅)
【群馬県】桐生市
【栃木県】那須町(那須温泉)