浅丘ルリ子が『若い人』に次いで出演した石坂洋次郎原作の映画化。恋愛、結婚、女性の自立というテーマを、姉妹の恋の行方にからめて爽やかに描く。
大学の英文科を卒業した香月美和子は東洋評論社の入社試験に合格した。社長の山田がハキハキものを言う美和子の現代的な性格が気に入ったからだった。と同時に試験の手伝いをしていた若い社員・野崎正也もすっかり彼女が好きになってしまった。しかし美和子は編集長・野呂の渋い中年の魅力に次第に惹かれ始めた。彼は数年前に妻と死別し二人の子供と老母とやもめ暮らしをしていた。ある有名人の家へ原稿を取りに行った帰り、野呂は美和子を自分の家に案内した。彼女はまるで母親に対するようにまとわりつく野呂の子供たちをやさしく見つめるのだった。美和子の周りもまためまぐるしく動いていた。彼女の姉・信子は平凡な家庭生活に飽きて、PTAで知り合ったプレイボーイ紳士の石山によろめきかかっていたが、夫の勇造は知ってか知らずか暢気に尺八はかり吹いていた。野呂が大阪へ出張し、美和子は子供たちの招きで彼の家で泊まってやることになった。安定したこの家庭の雰囲気が美和子にはたまらない魅力に感じられた。そんな彼女を見ている野崎はヤキモキして毎日のように皮肉を浴びせるのだった。大阪から帰った野呂は風邪をこじらせた。美和子はかいがいしく看病するが、野呂から郷里に住むある未亡人と再婚すると聞かされ愕然とするのだった。