示談屋
じだんや
続発する交通事故に寄生する「示談屋」の跳梁のかげに、歪んだ現代の人間像を描いた社会ドラマ。
東京では連日、悲惨な交通事故が繰り返されている。そこに、事故の当事者双方から大金を騙しとる「示談屋」が現れた。笠原源吉と宍倉は、折しも街頭で起こったオート三輪とトラックの追突事故をものにしようと躍起になっていた。宍倉は加害者であるトラックの運転手から巧みに委任状を受取ると、その足で被害者を佃病院に訪ねた。だがそこには源吉がいて、宍倉は追い返されてしまった。源吉は病院の事務長・大沢とグルになって入院患者から甘い汁をすっていたのだった。源吉は、他人の不幸を喰いものにする示談屋探業に入ったため、女房には愛想をつかされて逃げられ、息子の茂と暮らしている。 茂は全日交通へ就職したが、事故係として被害者を見舞うようになってからは、仕事に嫌気がさしていた。ファションモデルの住友マリも全日交通のトラックにはねられた被害者で、顔半分には生々しい傷痕があり、彼女に会うたびに茂は同情と責任を感じずにはいられなかった。茂は源吉に「示談屋みたいなあくどい商売はやめて下さい」と責めたが突っぱねられた。茂はいつしかマリに愛情をもつようになり、源吉に結婚したいと伝えたが相手にされず、源吉は佃病院の看護婦・和江を茂の部屋へ寝泊まりさせるようにした。将来歌手を夢みる和江は盛んに茂を誘惑したが、茂は嫌がった。数日後のある日、茂は和江からマリの死を聞いた。頭の骨にヒビが入っていたのだという…。
日本 製作:日活
日活
1963
1963/11/13
モノクロ/80分/シネマスコープ・サイズ/7巻/2240m
日活
【東京都】江東区(指定救急病院佃外科(隅田川畔)、江東新橋辺り)/千代田区(霞ヶ関)/足立区(千住の土堤・西新井橋附近)/隅田川