ある日突然、好夫の父が死んだ。交通巡査だったが白タクにひき逃げされたのだ。母の正子は途方にくれた。やすし、チコ、好夫の3人きょうだいは自分たちの力で生き抜こうと決心した。葬儀委員長にやすしがなり葬儀屋を断った。香典も生活費の足しにするためだ。鯨幕の代わりに幔幕を張りめぐらした珍妙な葬式に大人たちはびっくりしたが、3人は平っちゃらだった。泣いたら罰金50円と決め、彼らは悲しみをこらえて葬式を終えた。相続の結果、やすしと好夫は佃島の五郎叔父の家に、正子とチコは成城の小川家に分散して生活することになった。父の表彰状を残して家具は売り払った。五郎叔父は妻のはるみに文句を言われながらも、やすしと好夫を佃島の自宅2階に住まわせた。正子たちが移ったのは、やすしの親友・清の家。父親の小川は隅田川から東京湾一帯で舟運会社を手広く営む社長で一家の不幸に同情して、正子を家政婦として雇い入れる代わりに部屋を提供したのだ。チコも転校して清の弟・健と同級生になった。こうして3人兄弟の新しい生活が始まった。