卑劣な罠、付きまとう殺意の影に対決する男と、その真相を追う新聞記者の活躍を描く凄絶、豪快の大アクション巨篇
ある日の昼下り、刑務所の面会所で懲役囚が狙撃された。射ったのはチンピラで射たれたのは芝田という、すでに刑期が終わり出所が許されていたヤクザだった。そのニュースが日東タイムズに入った時、社会部の記者たちは、単なるお礼参りだと軽く片付けたが、ただ一人片桐だけはキラリと目を光らせた。片桐はすぐ刑務所に行き所長に会った。高春組幹部の芝田が刑務所入りしたのは二年前、兄貴分の中川を喧嘩で殺したのがその理由だった。ところが不思議なのは出所が二十日前に許されているのに、芝田が出所を嫌がっていることだ。明らかに何かを怖れている。しかも、わざわざ刑務所まで殺しに来たその裏には、何か重大な特ダネになるような事件が隠されているに違いない――片桐はそう睨み、芝田の身辺を洗おうと決心した。片桐は芝田に会って、日東タイムズが全力を挙げて身柄の安全を保障するから出所するようにとすすめた。芝田は片桐の熱心な説得に負け出所することを約束した。片桐の大胆な計画を知ったデスクの野毛は一度は反対したが、その気迫に押されてOKした。そして、芝田の出所は真夜中の午前零時に決行されることとなった…。