麻薬取締官親娘の家庭を襲った白い魔手の恐怖を描く異色アクションドラマ。NHKTVドラマ「灰色の記録」の映画化
寒風吹きすさぶ大都会の岸壁に汚物と一緒に若い男女の変死体が打ち上げられた。城南署からの電話を受けた厚生省麻薬課の取締官藤崎は愕然とした。死んだ男は藤崎の部下で長田といい、彼の命令でクラブ・シーサイドに潜り込み、死んだペイ患の女野々村ユキの身辺を張り込んでいたのだ。「長田君!君の仇はきっと私がとるぞ」長田の検死に立ち会った藤崎は悲痛な面持ちで所持品を調べていたが、ズボンの折目から出て来たビニール袋の麻薬をキラリと目を輝かせた。城南署でシーサイドのマダム・エミを召喚して事情を聴取する一方、藤崎たちはクラブの出入り商人や馴染み客の張り込みを続けた。藤崎には病身の妻と商事会社に勤めている一人娘の節子がいたが、その暮らしは決して楽ではなかった。藤崎は、機密を守るためと、家族の安全を計って、節子には自分が保健所に勤めているといつわり続けていた。それだけに節子は、全国を転々としてきた過去や、家を空けがちな父を不満に思っていた。そんなある日、節子は、会社の紹介で条件の良い外国商社へ転勤した…。