陰謀、裏切り、背徳の世界にボスの座を狙うチンピラやくざの野望と、その悲劇的挫折を描く白熱のアクション巨篇
盛り場にネオンの灯がつくと、チンピラが肩をきって横行しはじめる。今夜もチンピラ・カツの姿がビルの物陰から現われた。カツは生まれつき気性が荒く、頼る親もなくひとりぼっちだった。カツの頭には、何かデカイことをやってやろうというやけっぱちな野心がひらめいていた。この街では「大崎会」というやくざが最も幅をきかしていた。大崎会のボスは、カツの憧れの的でなんとかしてこの会員になろうと決心した。ある夜、カツは駐車中の外車から拳銃を盗み出した。逃げる途中、数人の愚連隊に追われ袋だたきにされたが、あくまでシラをきった。この時カツを救ったのが大崎会の野島だった。「四人を相手に張り合うたァいい度胸だ。困ったことがあったら力になるぜ」とカツに名刺を投げつけた。カツの胸は躍った。これを機会に念願だった大崎会に仲間入りできるのだ。雪の降りしきる真夜中、カツが間借りしているバー「トロイカ」の二階へ、野島が美嘉という若い女性を連れてやって来た。野島は会の金を使い込み仲間に追われていた…。