創立八十八年祭で湧き立つ城南大学。その校庭には、初代総長の名文句を刻んだ胸像が睨んでいる。「青年よ色欲を抱くな。惚れたって駄目よ!」折しも、総長室では、三代目の福田総長が後援会長の佐原重工社長に説教をくらっていた。「まるで、どの催しも、ベタベタした色気ちがいの発表会ばかりじゃ…」佐原社長は、質実剛健の校風が薄れて情けないと大憤慨。だが、福田総長も負けてはいられない。「午後からの忍術発表会を見て下さい。会長が目をかけている中島茂夫君はこの会の有力メンバーですよ」その忍術発表会では、茂夫は“火遁の術”“ましらの術”といった伊賀流忍術の極意を次々と披露。最後には、女性の下着を目の前にぶら下げ、色欲を抱いた途端、天井から石が落ちる独特の精神鍛錬法を発表。七人のメンバーの中で茂夫だけが残った。その夜、佐原社長は茂夫を前にすっかり上機嫌。茂夫の父の死後、親友の佐川が茂夫を引き取って面倒を見ており、近く伊賀山中で行われる忍術研究会の合宿で、茂夫が百々地花子名人から免許皆伝の腕前を貰ったら社長の地位を譲るつもりだったのだ…。