十代の河
じゅうだいのかわ

履歴を偽って失職した男が重ねた傷害事件への憎しみを越えて被害者の娘がさしのべる善意と人間愛の美しさを描くヒューマンドラマ

うら若い幼稚園の教師、田村純子は今日も多くの園児を前にオルガンを弾いていた。近づくクリスマスには、彼女が脚本を書いた児童劇を園児と一緒にやるといった意欲に燃えていた。そんなある日、純子の教え子である八重子が突然、幼稚園へ姿を見せなくなった。原因は、八重子の父が職場を退職させられたからだった。八重子の父の坂本は、純子の父と同じ勤め先である「太陽製機」の工員であった。温厚で真面目で勤続十年余という熟練工であったが、坂本には、入社前に傷害で懲役二年という前科があった。そのことが発覚したため、純子の父である労務係長の田村は、その立場上断腸の思いで「退職届」を書かせざるを得なかったのだ。これを知った、同じ職場に働く若い工員文男は怒りに燃えて立ち上がった。大先輩にあたる坂本は、彼の尊敬している模範工員だったからだ。組合の幹部と話しても、らちがあかないと知った文男は単独で救済運動を開始した。数日後、共済会の脱退金を届けに坂本のアパートを訪れた文男は、やはり教え子の八重子が気になり訪れていた純子と会った…。

日本
製作:日活 配給:日活
1962
1962/11/28
61分/5巻/1638m/モノクロ/シネマスコープ・サイズ
日活
【神奈川県】川崎市(工場街、多摩川土手、江川町)
【東京都】中央区(銀座ACB、小松ストアー前)