盛り場を舞台に、激浪の青春を逞しく乗り切って進む若者たちの姿を夢とともに描いた青春娯楽篇。
観音さまの境内を、ユキは歩いていた。孤児で芸者家に引き取られて育った彼女は、好色な清水社長のもとに行かねばならなかった。その寸前、飛び出したのだ。まもなく追ってきた柳橋一家の男たちに見つかり、連れ去られようとしたところに別の男たちが現れ、ユキを救った。彼らはこの土地を支配する吉野組のチンピラだった。その中の一人三郎は、ユキの小学校時代の友だちで偶然の再会を喜んだ。だが事情を聞いた仲間たちは同情したふりをして、実はユキを売りとばすつもりだった。数時間後、三郎たちはユキを連れ出そうとしたが、待ち伏せた柳橋一家に追われストリップ劇場に逃げこんだ。そこで、小学校同級生の九太にバッタリ会った。九太はコメディアン志望の青年で、劇場で下働きをしていた。九太は協力を約束した。安心した三郎はだったが、 九太が彼女に優しくするのをみてヤキモチをやき、通りがかりの学生に喧嘩を売ってしまった。危ない彼を助けけたのは、ボクシングの練習帰りの英二だった。三郎と別れた英二は、柳橋のきくを訪ねた。きくはユキを売ろうとした女だ。英二も以前は死んだ母親ととともにここで働き、ユキときくの実の娘トモコと仲良く暮らしていたのだが、きくのあくどい仕打ちに飛び出し、新人王目指してボクシングをはじめたのだ。ユキのことを聞き烈火の如く怒り、去っていく英二をトモコは涙で見送った。新人王決定戦が迫る英二は「ユキのことを張消しにしてやる」と八百長をさそわれるが…。