人気タレントと女性マネージャーの倦怠期カップルが真実の愛を求めて、東京から九州までおんぼろジープで疾走する。スタイリッシュでモダンな蔵原惟繕監督作品で、浅丘ルリ子を主演にした「典子三部作」の一作目。劇中で石原裕次郎がギターを爪弾いて歌う主題歌を作詞したのは助監督時代の藤田敏八。
毎日忙しいスケジュールに追われる人気タレントの北大作は、一日の一分一秒までマネージャー兼恋人の榊田典子に管理されていた。恋人といっても、二人の関係には二年前から不思議な約束が交わされていた。それは「ある瞬間」が来るまでお互い指一本触れない清い関係でいること。「ある瞬間」とは何なのか、それは二人にもわからない。それがいつか来ることを期待しつつも、二人の間にはある種の倦怠感が横たわり、仕事に忙殺される毎日だった。そんなある日、大作は恋人との純愛を信じ続ける娘、井川美子と出会う。美子の願いは九州の片田舎で離れて暮らす彼の元に、中古のジープを運んでもらいたいというものだった。愛情というものに疑念が湧いていた大作は、その純愛を確かめてみたくなり、全てを放り出してジープに乗り込んだ。そして東京から九州へジープで向かう無謀な旅が始まった。典子や業界関係者、そしてスクープを狙うマスコミは大慌てで彼の後を追うが…。