赤い蕾と白い花
あかいつぼみとしろいはな

互いに片親だけで育てられた若いふたりが、親同士の交際を経て、結ばれるまでを描いた高校三年という多感な青春の季節。若い男女の思春期の心理を格調高い石坂文学を得て純愛コンビ吉永・浜田で描く文芸純愛ドラマ大作。

三輪重夫と岩淵とみ子は高校三年、仲の良いクラスメートだ。ふたりが友達になったのは、同じような境遇に育ったからかもしれない。とみ子は父親を早くに亡くし女手一つで育てられ、重夫には母親がいなかった。しかし彼等らには、暗い影はみじんもなかった。ある日ふたりは、お互いの親がなぜ再婚しなかったかを話し合い、子供の幸福のためであるという意見に一致した。そして、これからは親たちが楽しくつき合うチャンスを作ろうというとみ子の考えに重夫も賛成した。その夕方、学校の帰りに三輪医院に寄ったとみ子は、重夫の父・貞一の人柄にすっかり魅せられた。 翌日、真知子が風邪をひいて寝込むと、とみ子は三輪医院へ電話して、来診を頼んだ。それから毎日、貞一が真知子を診察にきた。つまり、とみ子と重夫の計画どおりになった。ある日、田舎からとみ子の祖母おかねが出てきた。真知子は貞一は、おかねを羽田空港に連れて行き、遊覧飛行機に乗せた。そのとき真知子が足を捻挫し、やむを得ず貞一が彼女を抱いてるところを、真知子が校長をしているドレス・センターの生徒たちに撮られた。数日後、重夫がとみ子の家で試験勉強をしているとき、羽田空港で撮られた写真が届いた。貞一に抱かれ、スカートから白い足が露わな母の写真を見たとみ子は顔色を変え「汚らわしいわ!」 と急に泣き出し、重夫を驚かせた。 そして、親たちへのレジスタンスのために家出すると主張した。一度言い出したらきかないタチの彼女を一人で家出させるのは危険だと思った重夫も、不承不承同意した。ふたりは書き置きを残し、貯金と勉強道具を持って家出した…。

日本
製作:日活 配給:日活
1962
1962/6/10
カラー/80分/シネマスコープ・サイズ/7巻/2187m
日活
【東京都】大田区(田園調布、羽田空港)/世田谷区(二子玉川)/東京タワー俯瞰