麻男は中学一年の暴れん坊だ。彼は祖母トメ子と二人暮らしで、朝夕新聞配達のアルバイトをしていた。母の豊美は彼らと別居していた。それは、彼女が生活のためいかがわしいキャバレーで働いていたからだ。ある日、偶然母が客とホテルから出てくるところを見てしまった麻男は、心の動揺を抑えることが出来なかった。それからは、母が買ってくれたものは「汚ねえ!」と何一つ手を付けず、トメ子を困らせた。その頃、学校では新任の音楽教師吉村京子が赴任してきた。はじめての時間、麻男は悪友と一緒に授業をチャカして担任の森田先生に呼び出され、油をしぼられた。言いつけたのは学級委員の小林徹だった。京子は、たまたま麻男と同じアパートに住むことになった。彼女部屋には徹たちが遊びに来ていた。その賑やかな歌声を聞くと麻男は次第に不機嫌になるのだった。翌日の放課後、麻男と高橋は徹を待ち伏せ「イヌ奴!」と殴りつけた。森田と京子は、ワンパクな麻男のことについて語り合ううち、いつしか親しさを増していった。そんな二人を見るにつけ、麻男はますます淋しく思うのだった…。