怒りに燃える男の意気地とせつない乙女の恋を日本三景の一つ松島を背景に描く、アキラお得意のムード・アクション大作
仙台青葉城の桜はまだ蕾だったが、傷心の三崎明にとっては、なつかしい故郷の香りがよみがえった。少し前までは、三崎は東京の緑川高校の体育教師だった。その鉄棒競技は学生たちの人気の的だったが、ある日街のチンピラと喧嘩したことからPTAの逆鱗に触れ、学生たちに惜しまれながらこの故郷仙台に帰って来たのだった。三崎はこの仙台のやくざ神戸組の今は亡き親分に育てられた。そんなわけで自然に足は神戸組の縄張りだった街に向いたが、昔の面影はなく、すでに神戸組は子分の兵頭の裏切りで大部分の縄張りを乗っ取られ、組長未亡人を助けている子分は一徹な常次郎だけとなっていた。それだけに三崎の帰省は神戸組にとって嬉しい報せだった。しかし三崎は「三回忌が来たら二代目に…」と説得されながらも教師を捨てやくざになる決心がつかなかった…。