草木も眠る東京午前三時、ここ東京駅のヨロイ扉が開いた瞬間が“週末屋”五郎たちのハリキリ・タイムである。“週末屋”!? それは人口一千万の大東京が生んだ珍妙な新商売。つまり、週末の伊豆・湘南行楽地行きの準急座席券を大量に買い占め、まとめて会社の団体旅行用に売りつけようというのだ。だから、彼らは浮浪者たちを大勢集めて出札口に行列させ、座席券をおさえてしまう……その騒ぎが午前三時から展開されるのだ。その週末屋の一つ、名前だけは仰々しい“極東観光会社”の買い占め係五郎は弟分の子供敏夫を引き連れて意気揚々と行きつけの弥生食堂に乗り込んだ。というのも、その食堂の娘でバス・ガイドをしている美子に五郎はゾッコンほれているからだ。しかし、そうした五郎の好意は知りながら、チャンとした職業についていない五郎を美子はどうしても好きになれなかった。さて、極東観光会社はその後ますます商売繁盛、ついには温泉旅館と手を結んで、室の割り当てから大宴会の余興までひきうけるというケチなダフ屋顔負けのすさまじさ。そのため週末旅行を楽しもうという新婚組やアベックはオール・シャットアウト。業を煮やした警察の長谷川刑事も躍起になったが、法律ギリギリの線を行く彼らのシッポはなかなかつかめなかった…。