連続強盗殺人事件をめぐって、特ダネと犯人を追求する事件記者の凄まじい葛藤が続く手に汗握るおなじみ事件記者シリーズ第9話。
銀行強盗殺人事件の犯人が警察の包囲網の中、ビルの非常階段から転落死した。現場に急行していた記者たちは警戒線を越えて我先にと取材を繰り広げていた。一仕事終われば警視庁記者クラブにはたちまち賑やかな冗談が渦巻くのだが、今回の事件で使われた拳銃が闇から闇へ流される拳銃が引き起こしたとあって、東京日報のキャップ・相沢も「闇拳銃をなくさなければ駄目だなあ」と嘆息をつくのだった。その頃、五反田のガード下のおでん屋台「おつる」ではチンピラやくざの川村と小松が不景気な話をしながら呑んでいた。川村は新宿の関東組が差配する白タクの運転手をしているのだが、昼間、池袋で交通課の刑事に挙げられて一文無しだった。二人はさっぱり酔えぬまま「また今度」とそのまま立ち去ろうとした。踏み倒そうとしたその時、二人はギョッとなって立ち止まった。屋台の女将・お鶴の手にはいつのまにか拳銃が握られていた。「このハジキを一日一万で貸してやるからどこかで稼いでおいで。ただし、そのまま逃げようとしても駄目だよ。お前さんたちの呑んだコップに指紋がついてるからね」。二人が出て行ったあと、それまで酔いつぶれていた男がむっくり起き上がって「うまくやったな」とニヤリと笑った。男はお鶴の元の亭主で闇拳銃の元締めだった…。