競輪場の利権をめぐって、昔からこの街に勢力を持つ赤木組と新興勢力の黒田組が争いを続けていた。今日も黒田組に金で雇われた連中が、赤木組の工事現場に殴り込みをかけたが、居合わせた赤木組の兄貴分、上村義雄の見事な度胸と腕っぷしに恐れをなして退散していった。赤木組の社長赤木は、そんな黒田組を目の上のコブとは思いつつ「無意味な争いは避けて、話し合いで解決しよう」と提案していたが、赤木の片腕ともいわれている一の子分猪ノ原は、強気一点張りに黒田組を叩き潰すことを主張した。一方、悪賢い黒田は、県会議員の谷山を抱き込んで虎視眈々と機会を狙っていた。義雄はそんな争いを見ているうちに、やくざの世界というものに疑問を持ち始めていた。だが義雄が眼に入れても痛くないというたった一人の弟健児は、逆にやくざの世界に憧れ、「早く俺も兄貴のような立派な男になりたい」と、いっぱしのやくざを気取るチンピラだった。数日後、赤木組と黒田組の争いは頂点に達し、赤木組は黒田組の本拠であるキャバレー「ラスベガス」に殴り込みをかけた…。