何もかも狂ってやがる
なにもかもくるってやがる

必要以上に批判する大人たちに反抗する十代の世界。唯一の理解者を異性に求めて葛藤する異色青春ドラマ。

授業中の静かな教室に突然、教師・矢口の怒声が飛んだ。机の傍に無表情で立っているのは、細田淳だ。矢口は淳の態度を忌々しそうに睨みつけると、教科書を叩きつけ荒々しく出ていった。淳は仲の良い吉井努と帰る途中、何ともわからぬものに対する憤まんで胸が煮えくり返るようだった。職工である淳の父親は学歴のなさをいつもこぼし、母親は乏しい家計を助けるため夜遅くまでミシンを踏んでいた。淳は父親の不甲斐ない態度に腹を立てていた。大人の世界の複雑さにやりきれず、うっぷんを抱いていた淳は父親に逆らい、母親を困らせ、先生の矢口に反抗した。それはただ、反抗のための反抗だった。期末試験で淳は、後ろの席の吉野の代わりにカンニングの濡れ衣を着せられ、叱責された。努は憤慨し、街で偶然吉野を見かけると、放っておけという淳をよそに彼を詰問した。「先生と父親には黙っていてくれ」と金を出す吉野に怒った淳は、彼を叩きのめした。これを見ていたこの辺りの顔役・三沢は二人を組に誘い、小遣いを渡した。困惑する努にかまわず、淳は平然と金を受け取った。喫茶店でジャズを聴いていた二人の傍の席に、中年の男と若い女が座った。どうやら課長が女性事務員を誘惑しているようだ。淳はレコードのボリュームあげ、驚く二人を尻目に店を出た。家へ帰ると、父親の渋い顔が待っていた。カンニングの件で学校から呼び出されたのだ。くどくど説く、みじめな両親の様子にたまらなくなった淳は家を飛び出した。当てもなく歩く彼の眼に、ひとつだけ開いているアパートの窓が映った。何の気なしに覗きこもうとしたそのとき、背後から声をかけられ振り向くと、喫茶店で見かけた女が立っていた…。

日本
製作:民芸映画社 配給:日活
1962
1962/4/18
モノクロ/7巻/2094m/77分/シネマスコープ・サイズ
日活
【東京都】荒川区(町屋、荒川土手)/台東区(浅草松屋屋上遊園地)