花の才月
はなのさいげつ

両親と死に別れた貧しい少女が幼い弟を抱え悲嘆にくれるが、村の青年の愛によって強く逞しく生きる、唄と涙の青春篇。

県道の工事飯場で働いている人夫・石田の娘ひろ子は、病気の父を介抱しながら飯場の炊事係を引き受け、父の分まで働こうと一生懸命だ。父の病気はなかなか治らず、ひろ子は母を呼びよせることにして、毎日汽車の着く時刻に駅まで迎えに出かけた。しかし彼女の期待もむなしく、いつまで経っても母は現われない。毎日ガッカリしながら飯場へ帰るひろ子の姿は、村の人々の同情を集めた。なかでも最も彼女を心配していたのは、寺の一人息子・元享だ。住職になるのが嫌で大学に入るつもりの元享は、オートバイを乗りまわしては村の人々の眉をひそめさせている。その日も母親が現われず、ガッカリするひろ子を、元享はオートバイで飯場まで送ってやった。噂はすぐに広がり、人夫たちは忠告したが、彼女は元享が不良青年とはどうしても思えない。ひろ子の元に母親はついに現れず、代わりに弟の隆が母親の骨壺を抱いてやってきた。懸命の看病もむなしく、父もまもなく死に、ひろ子と隆はみなし児となった。人夫頭・木村の同情で、ひろ子と隆は飯場の炊事場に寝泊りできることになり、元享の発案で、ひろ子は炊事の合間に寺の庭の花を売って歩くことにした。どの家でも歓迎されたひろ子は、村人たちに甘えてはならないと、台所や洗濯を手伝い、ますます評判が良くなった。ひろ子の健気な働きぶりに元享は自分の自堕落な生活を反省し、飯場で働くことにした。ところが村人たちが続々と病気に倒れた。それも病人の出た家は、偶然にも皆ひろ子の花を買った家だった…。

日本
製作:日活 配給:日活
1962
1962/3/28
モノクロ/70分/シネマスコープ・サイズ/6巻/1914m
日活
【東京都】町田市(自衛隊訓練地区=俗称戦車道路))
【千葉県】酒々井町(酒々井駅)
【埼玉県】日高市(高麗・聖天院)