ビル街の空は赤く燃えていた。歩き疲れた健が工事場にひっくり返っていると、突然、数人の人夫が健に殴りかかった。人夫たちは健をコソ泥と間違えたのだ。健は憤激して人夫たちに立ち向かった。すると、そこへ通りかかった男が人夫たちの手を引かせた。その男は工事を請け負っている岩田組の幹部石井だった。その日の夕方、またも健はチンピラと喧嘩した。追われて逃げ込んだナイトクラブ「ナルシス」の裏口で、健は偶然にも石井とばったり会い、また助けられた。その夜、健は石井のアパートに行き、きかれるままに両親に死別したことを話した。石井は同情して、当分このアパートにいるように健にすすめた。翌日、石井が岩田組の事務所に行くと、大幹部の田代が、石井のナルシスに対するやり方が手ぬるいと責めた。やがて始まる区画整理の計画によると、ナルシスが街の中心になるはずだった。それを知ったボスの岩田が、女の細腕一本でナルシスを経営しているマダムの昌子に金を貸し、それをタテに石井を使って立ち退きを要求しているのだった…。