刑務所の鉄扉が開いて、やつれた顔に無精ひげを生やした男が出て来た。数年前、縄張り争いのもつれから花村組の社長花村を殺害した西堀である。やっと釈放されたものの彼は再び出ていく世間に、身の危険が迫っているような不吉な予感に肩を震わせた。その予感は的中した。彼が東京へ向かう途中、何者とも知れぬ黒眼鏡の男に拳銃を突き付けられ、無理やり車に乗せられた。車が走り出して数分も経たぬうちに、後から猛烈なスピードで一台の大型車が追い抜きざま拳銃を射ってきた。黒眼鏡の男は車を停め、鮮やかな銃捌きで襲撃者たちを退散させた。西堀はその隙をついて車を奪い闇へ走り去った。東京に舞い戻った西堀はキャバレー「777」を訪ねた。このキャバレーは西堀の兄貴分・酒田が経営していた。西堀は刑務所へ行くとき、妹のトシ子を酒田に託した。トシ子は酒田と恋仲だったのだ。しかし、久しぶりに再会した酒田の話は意外だった。トシ子は酒田を捨てて素性の知れぬ若いトランぺッターを駈け落ちしてしまったというのである…。