一本杉はなにを見た
いっぽんすぎはなにをみた

一本杉のある地方の町。その小学校に教鞭をとる若い男女の先生と教え子たちの生活と愛情を中心に描く感動の珠玉篇。

これは、小さな田舎町の一本杉がそっと聞かせてくれた物語。小学校教員の吉岡美沙子は、学校一の腕白六年生・小林金一に特別な関心を寄せていた。手に負えないイタズラをする一方、小児マヒで脚の不自由な一年生・吉野ヒロ子の面倒を熱心にみてやる優しい反面をもった少年だからだ。同じ教員の山田耕吉は「特定の子供に関心をもつのはいけない」といつも反対した。東京育ちの美沙子は、サッパリした男らしい耕吉にいつしか好意以上のものを持ちはじめていた。ある日の夕暮れ、金一の貧しい家に着のみ着のままで転がりこんできた父子がいた。農業移民として南米へ渡っていた親類の倉太郎と清作が、失敗して逃げるように帰ってきたのだ。困り果てる親を見かねた金一が相談した美沙子の尽力によって、倉太郎たちは公民館に泊まることができた。無一文の彼らは働き口を探さねばならなかった。美沙子から話を聞いた耕吉のお陰で、若い清作は一平の理髪店で働くことになった。一平の娘たか子も、耕吉が好きだった。美沙子に耕吉との結婚をすすめる人もいた。美沙子は、下宿している家の女主人とめに背中を押され、翌日耕吉に気持ちを打ち明けた。しかし耕吉の顔に苦悩の影が走り、他に結婚したい人がいるのだという。「山田先生は、やはりたか子ちゃんを...」そう思った美沙子は涙をこらえ下宿に帰ったが…。
日本
製作:日活 配給:日活
1961
1961/12/12
モノクロ/6巻/1715m/63分/シネマスコープ・サイズ
日活
【神奈川県】愛川町(半原第一集乳所前通り、中津川)