波止場気質
はとばかたぎ

事故の責任を負って船おりた航海士と、彼が弟のように可愛がる若い港湾労務者とのボクシングをめぐって展開される男の友情物語。

船員を乗せた小舟 ― 艀(はしけ)の舵をとる岩佐英次は元は外国航路の航海士だったが、一年前事故の責任をとって船を下りた。艀から上がった英次を東洋公司の社員・近藤が待っていた。「社長の劉が会いたがっている」と伝える近藤に、英次は黙って首を振った。近藤の眼に一瞬殺気が走ったが、構わずその場を去った英次は、港の近くにある貧しいボクシングジムのドアを開けた。弟のように可愛いがっている港湾労務者・田村順の試合が近づいていた。順の父は英次と同じく船に乗っていたが、一年前の事故で死んだ。幼いときに母親を失い、身寄りのなくなった順のボクサーになりたいという希望を叶えさせようと、英次は懸命だった。港の労務者は、みな順を応援していた。みなと食堂のレジスター川田恵子も順の熱心なフアンだった。英次を愛している恵子は、彼が順に兄弟のような愛情を注いでいることに感激していた。英次は神技に近いポーカーの腕を持っていた。港で賭博場を開いている劉や滝田は、その腕を欲しがっていた。英次は順のために滝田から金を借りる代償として、一回だけカードを持つ約束をした。どうしても英次の腕を手に入れたい滝田は、五十万円の札束を積んでみたが、英次は冷たい一瞥を投げただけだった。英次が去ったあと滝田は「いまに嫌でも頭を下げさせてやる」と不気味な笑いを浮かべた。順の試合が明日に迫った夜、滝田は港湾労務者のサブを呼び、何かを命じた…。

日本
製作:日活 配給:日活
1961
1961/10/14
モノクロ/5巻/1730m/64分/シネマスコープ・サイズ
日活
【東京都】港区(芝浦桟橋、東京港)/中央区(銀座)