恋をするより得をしろ
こいをするよりとくをしろ
天下一品のケチとガメツサで“恋より得を”をモットーに、コツコツ集めた古美術品を売って大儲け。貧しい仲間のためにアパートを建ててやる人情喜劇。
安田安五郎は三十八才、いまだ独身。降っても照っても清掃車に乗り込んでは、東京中を走りまわっている。この男、ガメツサ、ケチンボにかけては天下一品。使えるものは女の片下駄でも家に持ち帰り、自分で使うという有様だ。相棒の運転手・四郎も呆れはて「だから彼女ができないんだぜ」と忠告しても、安五郎は「恋をするより得をとれ、これが俺の信条だよ」とうそぶいている。安五郎は小学校を出てすぐ骨董屋に丁稚奉公に入ったが、品物をみる眼ができるにしたがい、主人に内緒で儲けようと企んだもののバレてクビ。いまでは清掃夫となり、他人の捨てたものを拾って生きている身分だが、骨董品にはなみなみならぬ眼力があり、ガラクタの中から掘り出し物を見つけてはボロアパートへ運び、推定価値一億五千万円も貯えている。安五郎が寝起きしているアパートは文字どおり、軒は傾き、壁は崩れているオンボロ・アパート。住人たちも、家賃を半年も溜めている連中ばかり。業をにやした家主はアパーを潰してもっと儲けの多い建物にしようと、住人たちに立ち退きを迫っている。困り果てた一同は安五郎の部屋に集まり“安さん、いい智慧を貸してくれ”と頼みこんだ。いくらケチンボの安五郎でも、追い立てられては自分も困る。思案の眼を部屋の中へ投げていた安五郎は、埃だらけの骨董の山に気がつき「よし 俺に任しとけ」と胸を叩いた。
日本 製作:日活
1961
1961/7/24
カラー/72分/シネマスコープ・サイズ/6巻/1957m
日活
【東京都】千代田区(丸の内オフィス街)/世田谷区(成城付近)
【大阪府】大阪市(大阪市街、大阪城、通天閣、御堂筋)