大人と子供のあいの子だい
おとなとこどものあいのこだい

明日を信じ、意欲に満ちた激しい生活を書いた中学生の日記を映画化。複雑な大人の世界と、周囲の貧しさにもまれながら、たくましく明るく生きようとする子供の姿を描く。

平井明夫は下町の中学三年生だ。父親の国造は小さな工場の工員、母親のマサは内職、姉の加代も工員をして貧しい家計を助けている。国造は、工場の不況で月給も遅れがちになのに、毎日酒を飲み、競輪や競馬にうつつをぬかしていた。明夫は、そんな父親に憤りを感じるとともに、“専門学校までいった父ちゃんに日雇い仕事までさせたくない”と文句も言わず、苦しい家計をやりくりしている母親にも不満だった。学校で生徒会役員の選挙があった。成績優秀な彼は友人たちに推されて立候補し、役員に選ばれた。喜んだ親友の杉下京一は明夫を自分の家へ誘い、家族に明夫の演説ぶりを話した。その晩、楽しい夕飯をご馳走になった明夫は、食後に京一から「坂口智佐子が好きなんだろう」と言われた。国造の働いている工場が潰れた。次の仕事は中々見つかりそうもない。そのうえ加代も無理がたたって病気になり、療養所へ入ってしまった。しかし明夫はいじけなかった。学校では役員として活躍し、高校入試模擬テストでは全国でも優秀な成績をとった。明夫は毎日日記をつけている。「貧乏なのはしかたがない。俺は俺の力で争うだけだ」と書いた明夫は、昼間働き、夜間の高校へ行くつもりで勉強していた。明夫を高校へ進学させたい担任教師・田口先生と京一の父親・洋介が相談し、明夫を自分の家に預った。明夫と京一は励まし合って勉強し、二人と見事に合格した。合格の当日、明夫は療養所へ駆けつけた。姉の佳代も合格を喜んでくれるものと思っていた明夫だったが…。

日本
製作:民芸 配給:日活
1961
1961/7/17
モノクロ/6巻/1905m/70分/シネマスコープ・サイズ
日活
【東京都】江戸川区(江戸川土手)/葛飾区(新小岩駅北口、上平井中学校)
※撮影スタジオは目黒区柿の木坂・教映東京スタジオ