北上夜曲
きたかみやきょく

清らかに流れる北上川のほとりで愛を誓った大学生と娘が人生のむなしさにもまれながらも、その純愛を貫き通す歌謡メロドラマ。

美しい岩手富士の姿をうつす北上川のほとりで、敬介と志津子は逞しく、そして美しく成長し、いつしか愛し合う仲となった。18年前、孤児となった志津子は敬介の両親に引き取とられ、実の子同様に育てられた。大学に入学した敬介は「夏休みの7月5日には帰る。そのとき両親に僕たちのことを話そう」と約束し、上京した。敬介への切ない思いを胸に北上川に立つ志津子は、遠い東京の空へ届けとばかりに敬介の名を呼び続けた。東京の敬介も、東都大学陸上競技部で棒高跳の有望選手として忙しい毎日を送りながら志津子の面影を思い続けた。そんな敬介に、銀座でモード・サロンを経営する明子が色っぽい視線を送った。自堕落な彼女に時々ボーイハントの相手を紹介しているのは、勝手に敬介の友達を自称する不良学生・藪小路だ。数日後、下宿を追い出されて敬介の下宿に転がりこんだ藪小路は、志津子の写真を見るとニヤリと笑い、敬介を無理矢理明子のサロンにひっぱり出した。明子たちの不潔なパーティを振り切って飛び出した敬介は、街角で大学の先輩で同郷の山田良一と逢った。良一は社会的に有益な書籍の出版を計画しているが、融資してくれる会社がみつからず困窮していた。感動した敬介は協力を誓って奔走するが、うまくいかない。そのころ、何も知らぬ敬介の両親から縁談をすすめられ心を痛めていた志津子は、7月に敬介が帰ってくることに希望をたくしていたのだが…。

日本
製作:日活 配給:日活
1961
1961/5/22
モノクロ/62分/シネマスコープ・サイズ/5巻/1681m
日活
【岩手県】盛岡市(盛岡駅前、盛岡城跡公園、旧渋民村・啄木碑前、上の橋、花まつり)/雫石町(小岩井農場)/北上川畔
【東京都】台東区(上野駅、構内、鉄橋の上)/港区(赤坂)/世田谷区(小田急線世田谷代田駅附近)
【神奈川県】藤沢市(江ノ島・あるホテル全景、海岸、砂丘)/茅ヶ崎市(ゴルフ場)/藤沢~辻堂間の国道