本業はダメだが競馬予想は百発百中の作詞家をめぐる騒動を描いたスラップスティック・コメディ。小沢昭一が「裕次郎のように歌いたい」と監督に直談判して実現したラストも必見。
及川太郎はレコード会社で作詞を担当している気の弱いサラリーマン。毎朝満員電車に揺られ、会社につけば部長から早く歌詞を作れと催促され、作ったと思うと容赦なく切り捨てられ変更され、ついにはボツになるという有様。だがそんな彼にも特技があった。それは競馬の予想だ。彼の予想は百発百中だが、欲に囚われるとひらめきが鈍ってしまうと言っては金を賭けず、賭けのスリルを楽しむだけだった。そんなある日新妻の美知子が、馬の名前がぎっしり書かれた彼の手帳を浮気のメモと勘違いしてひと悶着起きてしまう。ようやく事情を了解してもらったものの、今度はこんなに競馬の予想が当たっているのに金を賭けないのはどういうわけだ、こんなに勝てばもっといい家に住めるのにと言いがかりをつけられる。自分の趣味を理解されずに怒った太郎は、家を飛び出して飲めない酒を飲みにバー・ドドンパへ飛び込む。だが酔いつぶれた太郎は愚連隊・白井たちに例の手帳を見られてしまう。彼の特技を聞き出した白井たちはいやがる太郎を監禁し、やがて始まるダービーの予想を得るため彼のひらめきを待つことにするが…。