胸の中の火
むねのなかのひ

二人の女子大生が辿る愛と欲望の遍歴を通して、現代女性の姿を描く異色の青春ドラマ

その日の演劇研究会の公演は不評だった。いつも明美の代わりに喜美子を出演させたのが、その失敗の原因だった。喜美子は自分の熱演が認められなかったので自棄気味になっていた。その夜、彼女は横田と遊びまわり、いつものように男をホテルに誘った。「享楽主義だけが愛の真実を実証するのよ…」喜美子は暗闇の中で炎のように燃えながら囁くのだった。喜美子の家は薬局を営んでいた。だが、両親は実の父母ではなかった。彼女は母の妹の娘だった。そのことがかえって彼女をわがままに育て上げていた。養父の卓也は毎晩のように遅く帰宅する喜美子を心配していたが、溺愛していたので叱ることはしなかった。明美の家庭は貧しかった。彼女はモデルのアルバイトをして学費を稼ぎ、生計を助けていた。そのために舞台稽古に出られなかったのだが、彼女はそれを少しも悲しいとは思わなかった。「負けるもんか、私は若いんだわ」彼女はそう心で叫びながら、希望に満ちた未来を夢見つつ、その美しい肢体を男たちの前に惜しげもなくさらした。

日本
製作:日活 配給:日活
1961
1961/4/10
モノクロ/5巻/1547m/57分/シネマスコープ・サイズ
日活
【東京都】練馬区(日本大学芸術学部講堂)/渋谷区(千駄ヶ谷)/新宿区(歌声喫茶「カチューシャ」、十二社、柏木付近、神田川、高田馬場・喫茶「ユッカ」、高田馬場商店街)/豊島区(池袋・西武デパート屋上)/中野区(中野商店街、図書館)/世田谷区(下北沢)