時効まで三十六時間、必死に逃げ延びる殺人犯を血まなこで追う、鬼刑事の人間的苦悩と恋の悲しさを描いた異色アクション篇。
獣のような奴が勝手な罪を愉しみ、野放しになっている都会のジャングル。だが、獣のいるところには狩人もいる。小田切刑事は、罪を憎む狩人の一人だ。小田切は総監賞を15回も貰った有能な刑事だが、非情なため署内での評判は悪かった。仲の好い友達といえば警察学校同期の桂木ぐらいだった。許すことを知らない小田切の正義感がとらえたのは、顔役の田口だ。何度捕えても、彼は身替わりを立てて罪を逃れていた。ところが小田切に締めあげられた田口は、意外なことに15年前の強盗事件の口を割った。気負い立つ小田切をみた田口は「もう時効になっているよ。それに殺しをした房井は今どこにいるかも知らねえよ」と冷やかに笑った。小田切が古い記録を調べたところ、田口の思い違いで事件はまだ時効になっていなかった。時効まで36時間残っている。その房井という男を捕えれば、今度こそ田口をぶち込むことができる。小田切は、品川にいるという房井という影のような男を追って、当てのない調べを始めた…。