生きていた野良犬
いきていたのらいぬ
やくざの世界に颯爽正義の鉄槌をたたきつける熱血の男の姿を描く痛快アクション篇

刑務所のいかめしい門が開いて一人の男が出所した。その男――武部次郎は刑務所を振り返ると精悍な風貌に不気味な笑いをたたえてつぶやいた。“兄貴、お前を殺った野郎をきっとここへブチ込んでやるぜ!それも死刑台の方へな”―五年前、やくざ同士の争いから、殺人事件が起こり次郎は兄太郎の身代わりになって鉄獄に自らを閉じ込めていた。しかし、その間に太郎は何者かに殺され、グラグラになった平井一家は太郎の弟分だった大村、坂崎らによって支えられていた。俺は兄貴のために五年間の青春を埋めた。が、その兄貴は殺された。俺は兄貴と俺自身のために必ず復讐してやる。獄窓でひそかに誓った彼の執念は火のように燃えた。次郎は、刑務所を出たときから自分を尾行するいくつかの黒い影に気づいていた。“大村の子分だ”次郎の顔に不敵な笑いが浮かんだ。大都会に隣接する新興都市、その一角の喧騒の街が大村や坂崎の地盤だ。次郎はチンピラの春夫を喧嘩から助けて意外な人間に会うことができた。五年前まで彼の仲間であり、いまは足を洗ってお茶漬の店をやっている浜やんと妹の民子だ。民子と春夫は愛し合う仲だった。再会を喜んだ浜やんは、次郎の復讐の決意を聞くと顔を曇らせた…。

日本
製作:日活 配給:日活
1961
1961/3/26
77分/7巻/2084m/イーストマンカラー/シネマスコープ・サイズ
日活
【東京都】江東区(深川)/足立区(小菅、綾瀬川と裏門堰親水の合流地点付近)