無情の夢
むじょうのゆめ
麻薬の世界と闘う一人の船員を描いた、佐川ミツオのヒット曲映画化の歌謡アクション篇

船員相手のバー「トト」は、相変わらず汐風の臭いを体中にしみ込ませたわめき声とジャズの騒音にわき立っていた。そこへふらりと入ってきたのは、ジャケツの上に無造作に背広をひっかけた五郎だ。彼はマダムの陽子に近寄ると、“あら、お久し振り”と驚くのもかまわず、いきなり圭子に会わせてくれと頼むのだった。風邪をひいて休んでいる圭子のアパートを聞き出している五郎の横へドサリと坐ったのは、そのあたりで顔をヤクザの南条である。話があるとしつこくからむ南条を五郎は一撃で殴り倒すと、そのまま「トト」を出た。真昼の陽ざしが明るい横浜港が一望のもとに見渡せる丘の上に五郎と圭子が並んで坐っていた。五郎は彼女に自分のささやかな計画――結婚したら船員をやめて、小さなコーヒースタンドを経営したいことなどを語った。圭子は彼の話を微笑しながら聞いていたが、「スタンドにいるあなたの奥さんがうらやましいわ」とつぶやいた。「そこにいてほしいのは君なんだよ」五郎の声を聞いて、なぜか圭子は顔色を変え激しく首を振った…。

日本
製作:日活 配給:日活
1961
1961/3/22
54分/5巻/1463m/モノクロ/シネマスコープ・サイズ
日活
【神奈川県】横浜市(横浜港、横浜駅構内、本牧)
【東京都】新宿区(新宿夜景、歌舞伎町夜景)