詩情溢れる農村風景を背景に、名匠・森永健次郎監督が吉永小百合を得て描く珠玉の青春感動篇!
朝露にしっとり濡れた白い小径をリヤカーに花を一杯積んだ乙女がやって来た。みや子である。彼女は父の源三、母のます、そして死んだ兄の嫁である咲枝らのあたたかい眼に見守られながら、すこやかに成長した。それこそ花のように美しい娘だ。そのみや子の仕事は、毎朝花畑から切ったばかりの色とりどりの花をお得意先まで配達すること。そして、そのひと回りするコースで会うさまざまな人たちがまた彼女の大の楽しみでもあるのだ。いつもすれちがうヤクルト配達員の健ちゃんは、一輪の花をもらう代償に商売物のヤクルトをくれる。慈光院の見習い僧・法海は父である院主の方丈と梵妻の芳江の仲の良さに刺激されてか、みや子へ盛んにモーションをかけるが、ちっともロマンチックじゃない。みや子が一番胸をときめかすのは町の信用金庫。そこには毎日花を買ってくれる用務員の宮沢老人と、一人息子で鉄道員の清吉がいるからだった。