佐伯有子は美術大学の学生だが、大阪の姉のところへ飛行機で遊びに行くことになった。チャッカリ屋の彼女は羽田で同じ便の切符を買おうとしている男と、飛行機に乗っている間だけ夫婦になろうと妙な約束をして、夫婦割引の切符を手に入れた。男の方も大喜び、料金は安くなるし、隣席にはきれいな女の子が坐ってくれるし、最高の空の旅とニヤニヤすっかりご機嫌の態。だがアイデア料をよこせという有子の抜け目のない要求に目をシロクロさせたが、男もさるもの“飛行機に乗っている間は夫婦なんだから当然の権利を行使するよ”と有子のひざをさわったり、手を握ったり、というがめつさぶり。さすがの有子もその鉄面皮にあきれながらもともかく無事に大阪へ着いた。姉の真冴は未亡人、夫の友人で画廊を経営している城戸の友情に励まされながら、女手一つで“どーとんぼり“というバーを開いている。有子がそのバーに行ってみると、ひっそりとしていて客をバンとつかむものがない。“この店をわたしのアイデアで大阪一はやるバーにするんだ”と意気盛んの有子が画廊の事務所へ来てみると、中から聞こえて来たのは容易ならぬ話だった…。