一石二鳥
いっせきにちょう

四人の老若男女の珍妙な恋愛合戦をユーモアたっぷりに描いた、源氏鶏太原作の人情喜劇。

特急はつかり号は奥州路をひた走り、東京に向かっている。その車内で二合瓶をかかえてゴキゲンな田舎会社の社長で独身の五平は、北海道からの家出娘・咲子と知り合った。かわいそうな身の上話を聞いた五平は一肌脱ぎ、東京で彼を待つ甥の修一に、彼女の働き口を探してもらおうと考えた。五平がゴキゲンなのは、独身の修一に花嫁候補が見つかったという知らせを受けたからだ。ところが女性は修一より十も年上のバーのマダムと聞き、五平は猛反対。約束のお祝い金十万円もやらない、と大喧嘩してしまった。しかし肉親の愛情で気になって仕方がない五平は、咲子とマダムのバー“小春”へ出かけた。現れたマダムは、なかなかの美人で良い人のようだ。五平は目尻を下げた。それをイヤな顔で見ているのはブローカーの鱶山だ。マダムはバーを開くとき彼に四十万の借金をし、鱶山はそれをタテにマダムを妾にしようと企んでいるらしい。みかねた修一が、どこから工面したのか十万円をマダムに貢いだという。そのとき修一がやって来たから大慌て。咄嗟の気転で他人同士のふりをした。咲子が“小春”で働くことにり、修一に好意を持った咲子は、五平がマダムを遊びに誘ったのを彼に知らせたから一大事。地団駄を踏んでくやしがる修一に、咲子は一層同情の念を増した。そんなころ刑務所から仮出獄したやくざの松永が「ただじゃおかねえ」とスゴんでいた。それもそのはず、松永の乾分が工面した保釈金十万円を修一が横取りし、マダムにやってしまったのだった…。
日本
製作:日活 配給:日活
1961
1961/2/25
モノクロ/62分/シネマスコープ・サイズ/6巻/1686m
日活
【宮城県】松島 
【東京都】台東区(上野駅)/港区(東京タワー)/府中市(府中刑務所)/▲(のんべい横丁、多摩川)