ミナト横浜を背景に神出鬼没の活躍を見せる影の男と、女体密輸団に挑む熱血刑事が正義と友情で宿敵を倒すサスペンスアクション。
ある日、星海不動産の社長星海氏が突然、秘書とともに姿を消した。世界第五のダイヤ“ブラックキャット”の取引寸前である。篤志家の星海氏は、そのダイヤを売って学生のためにユース・ホステルを建てる計画を持っていた。それが、自家用車ごと忽然と行方不明になったのである。しかも、当局の必死の捜索にかかわらず、事件は迷宮入りを伝えられた。それから一ヶ月後、ここ港ヨコハマには“アンカー”とも“影の男”とも呼ばれる不思議な男が出没し始めた。黒いレインコート、黒いソフト、白いマフラー……だが、誰もその正体を掴んだものはいなかった。ただ、きまって暴力から弱い市民を守るために、影のごとく現われ、金属製の星印を飛ばすのだった。そんなある夜ハマのキャバレーで婦人下着を売り歩く扇谷長吉は、ひといの可憐な娘・フミ子と知り合った。キャバレーに勤めている姉・令子を頼って、田舎から出て来たという。長吉は早速、相棒の次郎と一緒に令子を探したが、無駄に終わった。そのため、長吉は得意先のキャバレー“ブルー・ムーン”のマダム由美に会って、女給の口を頼んだ…。