大都会の巷にまたしても一つの事件が起こった。ある男の不思議な自動車事故死。しかも、それがロカビリー歌手人気№1紫茉沙彦だから問題だ。紫の遺作の主演映画を上映する映画館からトップ屋・黒川哲郎の事務所に戻った助手のマリと週刊実話の編集長・柳生に焚きつけられ、あまり気が進まなかった紫茉沙彦の死の真相に迫るべく、ライターカメラを片手に紫が死の前日に来店していたという赤坂のクラブ「メッサ」に乗り込んだ。「メッサ」ではおりしも紫のライバルだった松宮方也が歌っていた。黒川はホステスたちから紫の秘密を探り出そうとしたが、支配人の美恵子に巧みに妨害されてしまった。店の奥では財界の大立者・西島がアフリカの石油王・ナバロを接待していた。「アフリカの石油の買い入れの話じゃトップ記事にはなるまい」と独り言ちたその時、ポンと肩を叩かれた。旧友の辺見で今はインチキ芸能社をやっているという。ステージでは紫と噂のあった小磯奈々のサックス・ソロによる情熱的なリズム、見事な肢体が場内の目をくぎ付けにしていた…。