ある日、羽田空港に着いた旅客機のタラップから、マダンカン民族舞踊団とともに一人の中国人神父が降りて来た。劉尭徳である。車で迎えたのは、銀座に輝光堂という宝石店を経営する谷源次郎。その劉と谷は、暮色迫る海岸沿いの道で、覆面した二人の怪漢に黒カバンを強奪された。「畜生!誰の仕業だ!」柔和な顔つきをしていた劉は、これがさっきの神父かと思われるほど醜い狼狽をみせた。その夜、輝光堂の奥まった一室では、ジョージと健を前にして谷がほくそ笑んでいた。二重底の黒カバンから予想した通り、燦然と光芒を放つダイヤモンドが現われたからである。「まさか、神父が密輸屋とはねえ」ガムを噛みながら感嘆する健、一方、ジョージはこれを機会に足を洗うことを谷に申し出た。「何、足を洗う?もうぬけられねえよ」谷は軽くいなした。こっそりガムの中に一粒のダイヤを隠して見破られた健は、その夜、谷の非情な拳銃に消された。「こいつはいずれ裏切る奴だ」傍で唖然とするジョージに谷は狡猾な笑いを浮かべた…。