無実の罪に泣く悲しい宿命の娘と、それを助けて真実の為敢然立ち上がった若者との淡い慕情を井上ひろしのヒット曲に乗せて描く歌謡活劇。
「どうです、いい席だよ。安くしておくよ」繁華街の劇場の前で今夜もダフ屋の派手に動き回っていた。「オッ、イカすスケだぜ。兄貴一丁やるか」雨の中にさびしくたたずむ若い女を見つけたダフ屋の若谷とひろしが、仲間の修吉をつついた。「まかしとけ」彼はニヤリと笑った。修吉は女をすぐモノにするハンサムな男だ。一時間後、修吉はその女ゆみをたくみにホテルに連れ込んでいた。だが、そのゆみのさびしい影に気づいた修吉は彼女から身の上話を聞くと、もうゆみの身体に触れる気をなくしてしまった。「私は殺人犯の娘なの、会社もクビになった。でも、お父さんは決して人殺しじゃない」涙にむせぶゆみの言葉には真実の響きがあった。一文無しのゆみに残されたもの……それは、死んだ母親の遺品というダイヤの指環だけだ。「これを売ったら弁護士を雇うくらいの金になる」しかし、拘置所に入っている父親の孝平はなぜかそれを固くとめるのだった…。修吉はゆみの為に立ち上がることを決意した…。