小僧シリーズ第３弾。神戸、六甲山を舞台に、おなじみ不敵な小僧和田浩治が、若さに任せて暴れまくる痛快娯楽アクション篇

秋祭りににぎわう有馬温泉。竜巻小僧トミイは、幼いときに別れた父の消息を尋ねて、はるばるこの温泉町に辿り着いた。その夜、トミイは、ふと立ち寄った素人演芸会の会場で、いやがらせをしている愚連隊の流しを追い払ったことから、その時出場していた村上英子という娘と知り合いになった。英子は、トミイの身上話を聞くと、あまりにも似た境遇に驚きトミイを自分の家へ連れて行った。というのも英子の家は、中流温泉旅館を経営していたが、サルベージ船の船長をしていた英子の父も二年ほど前に行方不明になっており、トミイと同じように英子の兄、五郎も父を尋ねて家出していたからだ。翌日、トミイは古びたコウモリ傘を大切そうに抱えるヒゲの七条という流れ者と知り合いになった。七条は演芸会場でのトミイの腕前を見込み、金儲けの相棒にならないかと誘った。その金儲けとは、七条が刑務所にいたとき密輸業者から貰った情報で、神戸の沖合に二億円の金塊を積んだ密輸船が今でも沈んでいるというのだ…。