情熱の花
じょうねつのはな

冷たい社会や理解のない大人たちに絶望し反発する教護院の少年たちに、あたたかい手をさしのべる婦人警官と警察官の愛情物語を、ザ・ピーナッツのヒット・メドレーにのせて描く青春音楽篇。

政治少年はトランペットが吹けるが、教護院の仲間たちは疑った。そこで政治少年は教護院を脱走し、楽器店からトランペットを失敬しようとした。町で出会ったチンピラの山口が手助けを申し出たが、それが間違いのもとだった。店員にみつかり追われた山口は、店員を刺し殺してしまったのだ。政治少年を探していた警視庁少年補導課の婦警・秋津多美子は、夕方、上野公園でしょんぼりしている政治少年をみつけ、教護院に連れて帰った。だが、帰宅した多美子は、楽器店に勤める兄の省二が刺されたことを知り愕然とした。山口が刺したのは、多美子の兄だったのだ。数日後、心の傷に耐えて出勤した多美子は教護院を訪れると佐伯院長と相談し、少年たちに明るい灯をともすため楽器を習わせることにした。恋人で警視庁音楽隊の須川伸二に協力を求めると、彼は計画に賛成し、トランペットを教えに教護院に通うことになった。翌日の夕方、伸二を迎え少年たちは大喜びだったが、政治少年だけは豚小屋にこもり、トランペット演奏を聞こうとしなかった。あの日以来、ときどき教護院にやって来ては「バラせばお前も死刑だぞ」と山口に脅かされ、トランペットと聞くだけでも不安だったのだ。少年たちは、トランペットを懸命に習いはじめた。ところが政治少年は相変らず豚小屋に逃げこみ、とうとうある日、練習中の少年たちからトランペットを奪い、こわしてしまった。その帰途、伸二は「もしかしたら政治少年は省二殺人事件と関係があるのかもしれない」と自分の考えを話したが、少年を信じる多美子は強く反対するのだった...。

日本
製作:日活 配給:日活
1960
1960/11/12
50分/4巻/1357m/モノクロ/シネマスコープ・サイズ
日活
【東京都】台東区(上野公園)/千代田区(警視庁)/東村山市(萩山学園=現・都立萩山実務学校)