堅気を諦め弟分の少年を歌手に仕立てる、やくざな男の義侠と切ない恋とを横浜を舞台に綴る歌謡活劇篇
ボスの身替りという馬鹿げた“シキタリ”もやくざ者にとってはおろそかにできないものだ。ハマのキャバレー“ドミノ”のピアノ弾き湊新治も社長赤沢から身替りを頼まれた。ちょっとした浮気心から会長の女に手を出し自殺させ、命を狙われることになった赤沢の最後の手段だった。たまたま足を洗おうとしていた新治は、堅気になる事を条件にハマから姿を消していった。その夜、会長は赤沢をおどかすために乾分笠井を差し向けた。丁度その時、ドミノに歌手志望の家出少年次郎が職を探しに来ていた。次郎はとっさに笠井の拳銃から赤沢を庇った。赤沢は機を得たように「会長の女に手を出したのは、実は新治なんだ」と笠井にぶちまけた。赤沢の言葉を信じた笠井一派はすぐさま新治の後を追った。次郎は赤沢を庇った度胸の良さを買われ、ドミノに雇われることとなった。新治は故郷の浜松のホテルで幼なじみの雅子と逢っていた。雅子には歌の好きな弟がいたがすでに家出していた。そこへ笠井たちが踏み込んできた。いやおうもなく新治の指は痛められた…。