大草原の渡り鳥
だいそうげんのわたりどり

北海道に流れてきた渡り鳥・滝伸次が、観光地の利権を狙う悪玉からアイヌ部落を守る。小林旭の『渡り鳥』シリーズ第5弾でシリーズ中、最高傑作との呼び声高い作品。後にフォーリーブスのメンバーとして活躍する江木俊夫が子役で出演している。

前作『赤い夕陽の渡り鳥』で裏磐梯を後にした滝伸次と信夫少年は、信夫の母・和枝を訪ねに北海道・釧路にやって来た。和枝がマダムをしているキャバレー、ブラック・ベアに行くと、和枝はボス高堂と出張中のため留守で、アイヌのセトナが高堂の乾分ロクやサブの嫌がらせにあっていた。伸次が助けようとしたその時、網走帰りのハートの政と名乗る殺し屋風の男がセトナをかばった。翌日、この政を乗せた高堂のセスナ機が原生林の上を何度となく旋回した。高堂は東京から観光客を呼び寄せるためにアイヌ部落を潰して、この地に飛行場を作ろうと企んでいたのだった。高堂のアイヌ部落襲撃は日増しに烈しくなり、伸次も民芸研究家の順子とともに、アイヌ部落を守るために近づいていった。一方、伸次は和枝にも会った。しかし伸次の予想どおり、高堂の情婦として和枝の心はゆがめられていた。2、3日してアイヌ部落が世話になる清里硫黄精錬所に政がやって来た。高堂が清里に貸した二千万円の取り立てに来たのだった。そんな時、信夫が行方をくらました。見つけ出された信夫は「親切なおばさんがいた」と和枝を母とは知らぬひと時を過ごしてきたのだった。一方、清里の借金返済の目途は立たず、とうとう順子が店を売ると言い出した。ついに伸次は信夫の養育費として預かってきた二百万円を清里に差し出した。清里の息子・茂はこの金を持ってブラック・ベアに乗り込み、政の巧みな誘いに乗ってカード賭博に手を出してしまう。みるみるうちに茂の二百万は政の手元に集められていった。そこへ伸次がやってきて、政を相手に一回二百万の勝負に出る…。

日本
製作:日活 配給:日活
1960
1960/10/12
カラー/84分/シネマスコープ・サイズ/7巻/2277m
日活
【北海道】川上郡(阿寒連峰、西別岳尾根道、摩周湖、硫黄山、美幌峠)/釧路市(釧路原野、釧路、阿寒湖、阿寒国立公園)/網走市(原生花園、女満別飛行場)/帯広市(帯広駅)/網走市または小清水町(濤沸湖)