闇を裂く口笛
やみをさくくちぶえ

人造湖の底に家を捨てた一家族の立退き料をめぐり、ヤクザ対二人の学生の闘いを描く異色のアクション篇。

ある夜、ヤクザが一人殺された。 犯人・角太郎の組の会長は、警察を騙せるような頭の良い身代わりを探した。乾分の小松は清を思い浮かべ、アパート青葉荘へ向かった。この一室を波川清と川村新一という二人の貧しい学生が借りていた。新一は血を売ってまで学校に通い、清は割の良い生き方を求めヤクザ同様の生活を送っていた。部屋の前では、清の親戚だという娘・道子が帰りを待っていた。清の故郷は今は人造湖の底だ。立ち退き料をもらった盲目の老母たきが遺産相続のことで清に会いたがっている。清を連れ戻すようたきに頼まれてやってきた道子だったが、彼の顔を知らず途方に暮れていた。清の友人だと言って事情を聞き出した小松は、ホクソ笑んだ。会長に呼ばれた清は、シマを分けてもらうことを条件に犯人の身代わりを引き受けた。学校から帰った新一は、管理人から小松と娘の話をきくと顔色を変えた。清を返してくれるよう頼みに行った新一は、逆に彼らに脅迫され、刑務所へ行く清の代わりに母親に会いに行くことを命じられた。 新一、角太郎、道子を乗せたバスが村に着き、ニセの清が掃った家は明るくなった。たきは見えぬ目をしばたたいて喜んだ。家族の喜びが大きいだけに、新一は辛い思いで毎日を過ごした。背後には角太郎の眼が不気味に光っている。たきはしだいに息子の態度に疑問を抱きはじめた…。

日本
製作:日活 配給:日活
1960
1960/9/28
モノクロ/56分/シネマスコープ・サイズ/5巻/1528m
日活
【神奈川県】相模湖畔/川崎市