狂熱の季節
きょうねつのきせつ

インテリ族とビート族、二組の若い男女の対比の中に虚しく燃焼する青春の狂態を、鋭い感覚で描破する異色問題篇。

真夏の太陽が照りつける中、明と勝は出所した。少年鑑別所で互いを知った二人は、虚無と混迷が生んだ異端児だ。ただその日を目的もなく生き、善悪の区別も忘れた彼らにあるものは、そのときどきに偶発する衝動だけだ。二人は車を盗むと、猛スピードで飛ばした。ラジオから流れる強烈なビートジャズに、明はご機嫌だ。盛り場で明と古い付き合いのユキを拾い、三人は海に向かった。海岸で、明が「アッ」と声をあげた。明は、バーでユキと組んで金を盗もうとしたところを新聞記者の柏木と恋人の文子に見つかり、鑑別所送りとなったのだ。その柏木と文子がいる。明は車のドアで柏木をはじきとばすと、文子を車にひきずり込み、草むらの中で犯した。盗んだ車を売った金で、三人は安アパートを借りた。勝とユキが関係を持つようになっても、明は何も反応しなかった。ある日、明にとって好きなビートジャズが聞けるゴキゲンの場所バー・デュエットに、思いつめた表情の文子がいた。彼女は妊娠してしまったのだが、文子を傷つけまいと柏木の態度が変わらぬことが苦しくてたまらないと訴えるが、明の耳はジャズに酔いしれるのみだった。勝は、ゆくゆくはユキと世帯を持ちたいと考え、土地のやくざ関東組に入った。相変わらず、金がなくなるとカッパライをしてはいくらかずつ稼ぐ暮らしをしていた明は、街で文子を見かけると追いまわした。翌日、明を見つけた文子は「自分を助けるために、自分がされたように恋人である柏木を汚してほしい」という意外な訴えをするが…。

日本
製作:日活 配給:日活
1960
1960/9/3
モノクロ/76分/シネマスコープ・サイズ/6巻/2061m
日活
【東京都】中央区(銀座)/渋谷区(渋谷駅)
【神奈川県】藤沢市(江の島)